Z世代マーケティングの新潮流:進化するラジオメディアの可能性
デジタルネイティブであるZ世代へのマーケティング施策では、InstagramやYouTube、Xなどのデジタルメディアが主流となっています。しかし近年、「音の再価値化」という新しいトレンドが注目を集めています。
コロナ禍による在宅時間の増加を契機に、Podcastなどの音声メディアへの接触が増加。この流れは従来型メディアであるラジオにも波及し、Z世代のメディア接触動向に新たな可能性が示唆されています。
メディアの分散化が進む現代において、ソーシャルメディア中心の単一チャネル施策には限界が見えてきました。特に注目すべきは、マルチタスク志向の強いZ世代と「ながら消費」に適した音声メディアとの親和性です。
最新のメディア接触調査では、若年層のラジオ接触が一般的なイメージを上回る結果を示しており、企業のマーケティング戦略における新たな選択肢として浮上しています。
目次[非表示]
- 1.Z世代のメディア接触動向:最新データで読み解く
- 2.Z世代の新しいメディア消費傾向
- 2.1.ビデオリサーチ調査からの知見
- 2.2.「ながら消費」とメディア選択
- 3.効果的なマーケティング戦略の事例
- 4.まとめ
- 4.1.詳細資料のご案内
Z世代のメディア接触動向:最新データで読み解く
大学3年生に聞いた|従来型メディア、主要プラットフォームの利用状況
株式会社文化放送キャリアパートナーズが、2026年卒業予定の大学3年生(記事作成時)246名(男子79名、女子166名)を対象に2024年7月から8月にかけて実施した「メディア接触」調査によると、LINEが91%と最も高い利用率を示し、続いてYouTubeとInstagramが共に88%と高い水準を維持しています。(下図参照)
従来型メディアであるテレビも81%と高い利用率を保ち、これはTVerやAbemaなどの配信サービスの併用による「テレビの進化」を示唆しています。X(旧Twitter)は69%、TikTokは41%の利用率であり、Z世代が目的に応じてさまざまなメディアを使い分けている実態が明らかになっています。
図:大学3年生の接触メディアの割合
※質問「月1回以上、利用するメディアにあてはまるものをすべて教えてください」(複数選択)」の回答結果
音声コンテンツの台頭
音声コンテンツの利用状況を見ると、音楽ストリーミングサービスが28%、ラジオ(radiko含む)が24%となっています。特筆すべきは、ラジオの利用率がNetflix(25%)と同水準を維持し、Abema(13%)や新聞(18%)を上回っている点です。これは、従来型のラジオ受信機とradikoの併用によって、多様な接触機会を確保できている結果といえます。
この結果から、従来型の放送メディアであるラジオも、デジタル技術と連携することで進化を遂げていることがわかります。特に、radikoなどのインターネット配信サービスが普及したことで、ラジオの利便性が飛躍的に向上しました。これにより、通勤や勉強中に音声を楽しむZ世代の生活スタイルにフィットし、視覚的コンテンツに疲れたユーザーにとってリラックスできる選択肢となっています。
この「ラジオの進化」は、Z世代の多様なニーズに応える新たな音声メディアの形といえるでしょう。radikoは、インターネットを通じてラジオ番組を聴取できるプラットフォームであり、スマートフォンやPCからリアルタイムでの聴取が可能です。一部の番組では見逃し配信にも対応しています。さらに、エリアフリー機能(有料)を利用することで、全国の放送を聴取できるのも魅力です。
Z世代の新しいメディア消費傾向
ビデオリサーチ調査からの知見
さらに、Z世代のラジオメディア接触状況についての調査結果をご紹介しましょう。
ビデオリサーチの調査(2022年実施)によると、Z世代の約24%が週に1回以上ラジオを聴取しており、特に女性のradiko利用率が顕著に上昇しています。また、タレント出演番組への関心が高く、好みの番組には長期的に接触する傾向が見られます。これは、広告主にとって効果的なコミュニケーション手段となり得ることを示唆しています。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
Z世代のトレンド~ラジオメディア聴取実態調査とラジオのマーケティング活用~
「ながら消費」とメディア選択
Z世代に顕著な「ながら消費」志向は、学習時や通勤・通学時、さらには家事中など、日常生活のさまざまな場面で見られます。特に音声メディアは、これらの活動と組み合わせやすく、マルチタスクを前提とする彼らのライフスタイルと高い親和性を示しています。
効果的なマーケティング戦略の事例
Z世代のメディア接触動向を踏まえた新たなマーケティング施策として、ラジオを活用した2つの注目すべき事例をご紹介します。
これらの事例では、音声メディアならではの特性を活かしつつ、ソーシャルメディアとの連携によって認知度向上に成功しています。いずれもZ世代との深い接点を構築した取り組みであり、広告主からの関心を集めています。
特に、従来のデジタルメディアでは難しかった長期的な関係性の構築において優れた成果を上げています。
事例1:「アロンアルフア」のクロスメディア展開
文化放送とニッポン放送のコラボレーション番組『マネージャー対抗 乃木坂野球部交流戦!』では、SNSでの検索数が通常の5倍に増加するという成果を上げました。「2局の協働」という斬新な企画により、自然な情報拡散が促進され、広告費用対効果の大幅な向上が実現されています。
さらに詳しく▶東亞合成株式会社|商品検索数が5倍に増加! Z世代向け「アロンアルフア」ラジオ広告戦略
事例2:「トンボ鉛筆」の受験生プロモーション
「レコメン!」とのタイアップキャンペーンでは、約30年ぶりのラジオメディア活用によって、「トンボは勝ち虫」というメッセージを効果的に浸透させることに成功しました。受験生向けキャンペーンは年中行事として定着し、投資対効果の高い認知度向上を達成しています。
さらに詳しく▶株式会社トンボ鉛筆|「#トンボは勝ち虫」の認知が拡大!トンボ鉛筆の受験生をターゲットにしたSNS戦略
まとめ
Z世代は他の世代以上にSNSを積極的に利用しており、SNSを絡めたプロモーション施策が期待されています。しかし、企業にとってSNS活用はもはや普遍的な手法となり、他との差別化が課題となっています。
そのような中、次なるプロモーション手段として注目されているのが音声メディアの活用です。
Z世代の52%が定期的に音声コンテンツを利用し、ラジオ利用率の24%は主要な動画配信サービスと同等の水準を維持しています。ラジオはスマートフォンでの聴取やradikoなどのアプリといったデジタル技術との相性も良く、Z世代のライフスタイルに寄り添うメディアとしてのポテンシャルを持っています。
Z世代に効果的にリーチするために、企業はSNSに加え、ラジオを活用したプロモーション施策を検討することで、より多様なチャネルを通じた接点の強化が期待できます。
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