日本大学

学生がラジオCMを制作!
国内最大級の総合大学の広報戦略に迫る。

日本大学
本部 広報部広報課 貫井昌利 氏
インタビュー

日本大学は在学生約78,000人を誇る総合大学であり,文系・理系・医歯薬系の多岐に渡る学問領域を網羅しています。

その日本大学が、2024年1月、文化放送のラジオ番組「第100回箱根駅伝実況中継」で、ラジオCMを放送しました。

日本大学がラジオCMを放送した背景とその反響、そして芸術学部の学生がラジオCMをどのように制作したのか、広報担当者に伺いました。

このインタビューでは、日本大学のラジオCMの活用方法について詳しく掘り下げていきます。

皆さまの広報、広告活動への新しいヒントがあるかもしれません。ぜひともお読みいただきたいと思います。

日本大学は、創立130周年を迎えた、歴史と伝統を誇る国内最大の総合大学です。日本大学は16学部86学科、通信教育部、短期大学部を擁し、卒業生は約125万人、在学生は約78,000人。(令和5年3月現在)

日本大学 本部 広報部広報課 貫井 昌利氏

ー貫井さんのご担当業務について、教えてください。

貫井:学校法人日本大学は、日本大学だけでなく、小・中学校、高等学校、幼稚園、こども園、病院などを設置しています。

私の所属する本部広報部は、法人全般の広報業務を分掌しています。

私の担当する業務は、主に日本大学のホームページを利用したオウンドメディアによる広報と、新聞・テレビ・ラジオ・雑誌のマスメディアやウェブ広告、イベントなどのペイドメディアでの広報です。

この業務は何年くらい担当されていらっしゃいますか。

貫井:この業務は3年目です。

広報部に来るまでは、まったく違う業務を担当していました。入職時は日本大学商学部の管財課に配属されました。その後、日本大学鶴ヶ丘高等学校の事務課で管財業務などを担当し、現在の部署に着任しました。

ー 広報における日本大学のターゲット層と、メディア選定のお考えを教えてください。

貫井:メインターゲットは、3つあります。10代の中学生・高校生、在学生の10代後半~20代、保護者層の40~50代です。

受験生に対する募集広告は学務部入学課が行いますが、広報部も必要に応じて協力して広報を行います。

次に、メディア選定ですが、まず伝える内容を決めた後に、それを効果的に伝達するための最適なメディア選びを行っています。選ばれるメディアは、ターゲット層によって異なります。

 これまでラジオに出稿されていましたか。

貫井:過去にラジオCMをやっていたことはあるようですが、広報課に着任したときは、ラジオに出稿していませんでした。

今回、箱根駅伝番組でラジオCMを放送することになりましたが、実施に至った理由をお聞かせください。

貫井:4年ぶりに日本大学の箱根駅伝出場が決まったからです。出場が決まったことは、大学にとって良いニュースでした。

そのタイミングで、文化放送から、箱根駅伝のラジオ番組のスポンサーの提案があり、この番組でラジオCMを放送して「箱根駅伝に出場する選手を応援したい」と思いました。

【番組概要】(放送は終了しています)

◆番組名:文化放送新春スポーツスペシャル 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継

◆放送日時:2024年1月2日(火)午前7時30分~午後2時30分<往路>、2024年1月3日(水)午前7時30分~午後2時30分<復路>

◆放送局:文化放送を含む全国AMラジオ32局ネット

◆箱根駅伝特設サイト: https://www.joqr.co.jp/hakone/

 箱根駅伝は、テレビ中継もしていますが、テレビではなく、ラジオを選ばれた理由を教えてください。

 

貫井:ラジオはテレビよりリーチが低いですが、きっちり伝えたい方には届くメディアなので、今回はラジオCMが適切だと判断しました。

次に、ラジオCMについて伺います。日本大学の学生がラジオCMを制作したそうですね。珍しい取り組みですが、その背景と経緯について、お話しいただけますでしょうか。

貫井:これまで通り、制作会社に依頼できましたが、今回は芸術学部の学生と一緒にラジオCMを制作したいと思いました。

日本大学にはラジオ制作を学ぶことができる芸術学部放送学科があります。学生の力を借りて10代の方に興味を持ってもらえるCMを制作したいと思いました。

ラジオCM放送について学内稟議を進めていくと同時に、ラジオCM制作を放送学科の学生に依頼し、またラジオ番組のウェブサイトのバナーのデザイン制作をデザイン科の学生にお願いするため、芸術学部への相談を始めました。

当初から制作する時間が短く、芸術学部側が受け入れてくれるか不安でしたが、教授のご理解と協力により、学生と一緒に取り組む貴重な機会が実現しました。

 CM制作は、どのように進められたんでしょうか。

貫井:放送学科の教授の発案により、芸術学部放送学科の学生がラジオCMを考案し応募するコンテストを開催することにしました。

CM完成までのスケジュールはタイトでしたが、
72点もの応募がありました。その中から4点を収録することにしました。収録も学生にお願いしました。

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 応募が72点もあったんですね。制作したCMは、どのように選考されたんでしょうか。

貫井:選考は広報委員会にて行われました。委員会は、各学部からの代表および付属高校の代表などが委員で、30代から60代まで幅広い年齢層であり、教員の他、職員も含まれています。制作するCMは、委員の投票で決めることにし、得票数が多いCMが選ばれました。

応募いただいた全てのCMが素晴らしく、その中からどれを制作するCMにを選ぶのかを決めるのは、困難でした。
選考の過程で委員からCMの内容に意見が寄せられました。しかし、学生のアイデアを尊重するため、学生に伝える意見は適切に取捨選択しました。

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 貫井さんの印象に残っているCMありますか。

貫井:CMを初めて聴いたときは、すべてが「グッ」ときました。

採用されたCMのうち、「飛行機編」と「自主創造編」は汎用性のある内容で、「目標編」と「ついつい応援したくなっちゃう編」は箱根駅伝に沿った内容でした。

「飛行機編」は、「日本大学には多くの卒業生がおり、多彩な学部が存在する」という大学の魅力を、コミカルで端的に表現していました。飛行機のトラブルによる機内の緊迫したシーンから始まり、コミカルな結末へと展開していくCMで、そのシーン間のギャップがより印象的でした。

「自主創造編」は、大学の教育理念である「自主創造」をテーマにしたCMです。この理念は、広報活動でも頻繁に用いられる言葉です。このCMでは、ラップ調で「自主創造」という言葉を繰り返しています。

この斬新なアプローチは、リスナーの注意を引きつけるだけでなく、「自主創造」を強調する効果的な手法と感じました。

残り2つのCMは、1年生が制作したもので、どちらも完成度が高く、正統派のCM内容でありながらも、リスナーにしっかりと響く作品となっています。

いずれのCMも、私の実務の勉強にもなりました。

ラジオCMが放送されて、反応などございましたか。

貫井:はい、ラジオCMの評判は良かったです。

内の連絡ネットワークや卒業生からなる校友会において、SNSを利用してCMの放送予定を広報しました。そのため、学内からは「聴きました」「よかったです」という反応や感想などが寄せられました。

これまでもラジオCMを放送してきましたが、ここまでの反響はありませんでした。今回、ラジオCMを放送して効果があったと感じました。

芸術学部デザイン学科には、ウェブバナーのデザインをお願いされたんですよね。

貫井:はい、番組のウェブサイトに掲載するバナー制作をお願いしました。

学生が企画の意図を
汲み取っていただき「ラジオCMは日本大学の学生が制作した」ということが明確に伝わるデザインが完成しました。

制作スケジュールがタイトな状況だったにも関わらず、
素敵な作品に仕上げていただき、大変感謝しています。

学生がデザインした日本大学のバナー

 振り返って、今回のラジオCM放送と学生のラジオCM制作の取り組みについて、いかがでしたでしょうか。

貫井:教授と学生のみなさんのご協力のおかげで無事にCM放送が終了できてよかったです。

完成したラジオCMを聴いたとき、この大学の職員をやっていてよかったな、と心から感謝しました。
ぜひ、来年も今回の施策を続けていきたいと思います。

ー 最後に、ラジオに関するご意見など、あればお聞かせください。

貫井:ラジオは、情報が確実に伝わるという特性などがあり、魅力的なメディアです。

ラジオもテレビと同様に全国の人々に広く伝えるメディアです。ラジオがテレビと異なる点は、熱量の高いリスナーコミュニティの存在です。私自身もラジオリスナーとして、このコミュニティの存在を強く実感しています。

今後もラジオを活用し、日本大学の魅力をPRしていきたいと思っています。

貫井様、ありがとうございました。

日本大学本部(東京・市ヶ谷)にて

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