
スポットCMとは?販売パターンからメリット、料金まで徹底解説
CMのなかでも「スポットCM」は、ターゲットやキャンペーンに合わせた柔軟な放送が可能なため、企業にとって大きな魅力を持つ広告手法です。しかし、タイムCMとの違いや出稿方法、料金相場については不明点も多いのではないでしょうか?本記事では、スポットCMの基本的な特徴や販売パターン、メリット・デメリットを徹底解説します。企業の広告戦略に最適な選択をするためのヒントが満載です。
※本記事ではテレビの視聴者、ラジオの聴取者を「オーディエンス」として解説します。
目次[非表示]
- 1.スポットCMとは
- 2.スポットCMとタイムCMの違い
- 3.スポットCMのメリットとデメリット
- 3.1.メリット
- 3.1.1.短期間で集中的に放送できる
- 3.1.2.自由度が高く、柔軟な出稿ができる
- 3.1.3.幅広いオーディエンスに訴求できる
- 3.1.4.放送枠を分散することで、低視聴率・低聴取率のリスクを軽減できる
- 3.2.デメリット
- 3.2.1.全国に向けて同時間帯のアプローチが難しい
- 3.2.2.番組イメージと連動させた訴求が難しい
- 3.2.3.シーズンにより料金相場が変動する
- 4.スポットCMの販売パターン6種
- 5.スポットCMの料金
- 6.スポットCMと相性がいいビジネス
- 7.まとめ
スポットCMとは
スポットCMは、放送局が定めた時間帯に放送されるCMのことで、特定の番組に依存せずに放送されます。主に「PT(Participating Commercial)」と「SB(Station Break)」の2種類があり、番組内や番組間に挿入されます。企業は放送する時間帯や期間を自由に選べるため、短期間での認知拡大やイベント告知に最適です。また、スポットCMはタイムCMとは異なり、期間や回数を自由に設定できるため、限られた予算で効率的にリーチを得られる点が大きな魅力です。特にキャンペーン期間中や新商品の宣伝に有効な広告手法です。
スポットCMとタイムCMの違い
スポットCMは、特定の番組に依存せず、テレビ局が指定した時間帯に放送されます。放送時間や期間、エリアを自由に選べます。多様な時間帯で露出できる反面、全国放送や番組イメージとの連携が難しく、放送回数にバラつきが生じることもあります。一方タイムCMは、特定の番組内で放送され、番組の前後でスポンサーとしてアナウンスされます。オーディエンスに強いアプローチが可能ですが、放送エリアや期間に柔軟性がなく、ターゲット層が限定されます。スポットCMは柔軟なアプローチ、タイムCMは番組に密着した放送が特徴で、目的に応じて使い分けるのが効果的です。
スポットCMのメリットとデメリット
メリット
短期間で集中的に放送できる
スポットCM最大の魅力は、短期間・短時間での契約が可能な点です。初めてCMを放送する企業にとって、効果を確認しながら試せるため非常に便利な選択肢となります。特に、短期的なキャンペーンやプロモーションに適しており、比較的低予算でも利用できます。
自由度が高く、柔軟な出稿ができる
スポットCMの魅力のひとつは、その柔軟性です。放映時期や時間帯、放送量を自由に決められるため、キャンペーンやターゲットに合わせて最適なプランを立てることができます。例えば、ゴールデンタイムに一部を放送し、残りを深夜に流すといった組み合わせが可能です。また、予算に合わせて出稿量を調整しやすく、キャンペーン期間中や新商品の発売に合わせてCMを集中的に放送できます。この柔軟性により、効果的に広告予算を活用できます。
幅広いオーディエンスに訴求できる
スポットCMは、特定の番組を指定せずに放送されるため、幅広いオーディエンスにアプローチできます。タイムCMでは番組のオーディエンス層が限定されがちですが、スポットCMはさまざまな時間帯や曜日に放送されるため、ターゲット層が広がりやすいのが特徴です。例えば、平日朝・昼・夜や土日といった時間帯に放送枠を組み合わせることで、会社員や主婦層に訴求できます。このように、スポットCMは短期間で大規模なリーチを獲得でき、幅広い世代に効果的にアプローチすることが可能です。
放送枠を分散することで、低視聴率・低聴取率のリスクを軽減できる
スポットCMのもう一つのメリットは、放送枠を分散できる点です。これにより、特定の時間帯や番組で視聴率・聴取率が低くなるリスクを軽減できます。例えば、平日・休日や早朝・日中・深夜のさまざまな時間帯にCMを流すことで、オーディエンス層の偏りを避け、安定した露出を確保できます。複数の放送枠に分散して露出することで、低視聴率・低聴取率の時間帯でも他の枠でカバーできるため、効果的にリーチを広げることが可能です。したがって、効率的にターゲットにアプローチでき、より高い広告効果を実現します。
デメリット
全国に向けて同時間帯のアプローチが難しい
スポットCMは、放送局ごとに放送枠を購入するため、全国の系列局で同時間帯に一斉に放送することは難しいというデメリットがあります。そのため、全国規模で統一したメッセージをリアルタイムに届けたい場合には、タイムCMのほうが適しています。また、スポットCMは出稿ニーズが高まる時期には放送枠の確保が難しくなり、放映量にバラつきが出ることもあります。特に、需要が集中するシーズンでは想定より放送回数が少なくなる可能性があるため、スケジュール管理や予算調整が必要です。
番組イメージと連動させた訴求が難しい
スポットCMは番組を指定せず、放送局が決めた枠で放送されるため、特定の番組のオーディエンス層に向けた訴求が難しいというデメリットがあります。例えば、スポーツ番組を見ている・聴いているオーディエンスに向けてスポーツ用品のCMを流したい場合でも、どの番組中に放送されるかを指定することはできません。また、放送のタイミングを細かくコントロールできないため、ターゲット層が視聴や聴取する番組内で放送されない可能性もあります。よってスポットCMを活用する際は、ターゲット層の行動パターンを考慮し、時間帯や曜日を適切に選定することが重要です。
シーズンにより料金相場が変動する
スポットCMは、放送局への発注量が増減する時期によって料金の相場が変動するため、広告予算を固定しにくい点がデメリットです。特に企業の広告出稿が集中する年末年始や大型連休、スポーツイベントシーズンなどは、需要の増加に伴い価格が上がる傾向にあります。このため、KPI達成に必要な予算を固定費として事前に算出するのが難しく、想定よりもコストがかかる可能性があります。よって、広告戦略を立てる際には、時期ごとの料金相場を把握し、適切なタイミングでの出稿計画を検討することが重要です。
スポットCMの販売パターン6種
スポットCMの放送枠は、平日・休日や時間帯によって区分される6つの出稿パターンがあり、企業の広告戦略に応じて選択できます。これらの区分は「線引き」と呼ばれ、CMの目的やターゲットに合わせた効果的な出稿を可能にします。どの時間帯にCMを流すかによって、リーチできるオーディエンス層が大きく変わるため、最適な線引きを選ぶことが重要です。ここでは、それぞれのパターンの特徴を詳しく解説します。
全日型
全日型は、曜日や時間帯を問わず、放送局が自由にCMを放送できる販売パターンです。そのため、スポットCMのなかで最もコストを抑えやすく、幅広いオーディエンス層にアプローチできます。
▼全日型の特徴
- 出稿範囲:月~日の朝から夜まで
- ターゲット:オールターゲット、在宅主婦層
- コスト:比較的安価で購入可能
- 適した業種:食品、日用品、医薬品など
特定のターゲット層に絞らず、不特定多数に向けたCMを展開したい場合や、在宅時間の長い主婦層への訴求に適しています。コストを抑えつつ、多くの人にリーチしたい場合におすすめのプランです。
逆L型
逆L型は、平日の夜・深夜帯と土日前日の枠にCMを放送するパターンです。主に週末が休みとなるビジネスマンや若者層をターゲットにしており、4つの主要パターンの中で最もコストが高くなります。
▼逆L型の特徴
- 出稿範囲:平日の夜・深夜帯+土日の全時間帯
- ターゲット:成人男女、若者、会社員
- コスト:高め
- 適した業種:自動車、アルコール飲料、家電、映画など
このパターンは、在宅率が最も高い時間帯にCMを放送できるため、特に若者や働く世代をターゲットにした商材と相性がよいです。週末のリラックスタイムにリーチできるため、エンタメ・ライフスタイル系の商品のPRにも適しています。
ヨの字型
ヨの字型は、平日の朝・昼・夜・深夜帯と土日の全時間帯にCMを放送するパターンです。成人男女に加え、昼間にテレビやラジオを視聴・聴取する主婦層にもアプローチできるのが特徴です。
▼ヨの字型の特徴
- 出稿範囲:平日の朝・昼・夜・深夜帯+土日の全時間帯
- ターゲット:成人男女、主婦
- コスト:やや安い
- 適した業種:食品、家電、化粧品、トイレタリーなど
特に、主婦やOL向けの商品をPRする広告主に人気があり、幅広い層へ効率的に訴求できるパターンとなっています。
コの字型
コの字型は、平日の朝・夜・深夜帯と土日の全時間帯にCMを放送するパターンです。特に、平日昼間にテレビやラジオに触れる機会が少ない成人男女をターゲットにしているのが特徴です。
▼コの字型の特徴
- 出稿範囲:平日の朝・夜・深夜帯+土日の全時間帯
- ターゲット:成人男女
- コスト:やや高い
- 適した業種:飲料、自動車、精密機械、化粧品など
通勤前・通学前の時間帯にも放送されるため、会社員や学生に向けたCM訴求が可能です。また、休日には幅広いオーディエンスにリーチできるため、購買意欲の高い層へ効果的にアプローチできる枠となっています。
一の字型
一の字型は、夜の時間帯に特化したCM放送枠です。他のパターンと異なり、放送時間を夜間に絞ることで、よりターゲットを限定した広告展開が可能になります。
▼一の字型の特徴
- 出稿範囲:夜の時間帯のみ
- ターゲット:若者+成人男女
- コスト:比較的リーズナブル
- 適した業種:アルコール飲料、年齢制限があるゲームや映画など
夜間のオーディエンス層は、若者や成人が中心となるため、仕事や学校が終わったあとのリラックスタイムにCMを訴求できます。特に、アルコール飲料やエンタメ系の広告に適しており、夜の時間帯に合った商品・サービスのプロモーションに向いている販売パターンです。
子ども取り
子ども取りは、平日の朝と夕方、土日の午前中にCMを放送するパターンです。子どもと主婦をメインターゲットにしているのが特徴です。
▼子ども取りの特徴
- 出稿範囲:平日の朝・夕+土日の午前中
- ターゲット:子ども+主婦
- コスト:高め
- 適した業種:ゲーム、玩具や流通、衣類など
子どもに特化した販売パターンです。通学前の中高生や主婦、そして夕ご飯時にCMを訴求できます。ゲームや玩具など子ども向け商品の広告に最適です。また、主婦向けの商品・サービスにも向いています。
スポットCMの料金
料金の計算方法
スポットCMの料金は、テレビの場合、GRPまたは買付額の指定で決まります。料金はパーコスト(視聴率1%あたりの料金)で算出され、発注金額をGRPで割ることで決まります。放送エリアや時期によっても変動し、人口が多いエリアや繁忙期は価格が高くなります。
ラジオの場合は、CMを放送するゾーン、時間帯によりCMの料金が決まります。
①放送パターン
販売パターンで解説した「全日型」「逆L型」などのなかからどれを選ぶかによって費用が異なるため、ターゲットに最適な放送パターンを選ぶことが重要です。
②時間帯・放送局
スポットCMの料金は、放送される時間帯や放送局によって大きく変動します。視聴率・聴取率の高い時間帯ほど広告の効果が期待できるため、その分コストも高くなります。例えば、テレビでいうと19時~22時の「ゴールデンタイム」は、多くの人が視聴するため、広告枠の需要が高く料金も割高になります。 一方、14時~15時の時間帯は視聴者数が少ないため、比較的安価にCMを流せます。また、放送局によっても価格は異なります。都市部のキー局は視聴率が多く影響力も大きいため料金が高く設定される傾向がありますが、地方局はオーディエンスが制限されるため、比較的低価格でCMを放送しています。
③CM秒数
CMの料金は、CMの長さによっても変わります。一般的にテレビスポットCMは、15秒と30秒のCMが主流で、同じ条件であれば15秒のほうが安いです。また、CMの長さは制作費用にも影響します。映像編集やナレーションの長さが違うためコストは変動しますが、撮影の手間自体に大きな違いはないため、「秒数が倍だから制作費も倍になる」ような単純な計算にはなりません。広告予算や伝えたい情報量に応じて、適切な秒数を選ぶことが重要です。
④放送期間
スポットCMの料金は、放送する時期や期間によっても変動します。期間が長い程高くなるのはもちろんのこと、放送する時期にも注意が必要です。CM枠には年間を通じた需要の波があり、特に9月~12月や2月末~GW前は広告出稿が集中する時期となるため、価格が高くなります。一方、1月や8月は閑散期とされ、比較的低価格で放送できる傾向があります。ただし、最近は需要期と閑散期の価格差が縮小する傾向があり、年間を通して安定した価格設定になりつつあります。
スポットCMと相性がいいビジネス
スポットCMは、特定のターゲット層やシーズンに対応した商品に特に効果的です。 浴衣やひな人形、夏のビールなど、季節に合わせた商品を販売する企業にとって、スポットCMは非常に効果的です。シーズンに集中して放送することができるため、ピーク時に最大の効果を狙えます。
まとめ
スポットCMは、放送局が決定した時間帯に放送される広告で、ターゲット層に効果的にアプローチできるという特徴があります。不特定多数のオーディエンスにリーチしやすく、低予算で放送できるため、初めてのCMや期間限定のサービス・商品の告知に最適です。また、放送する時間帯や曜日、期間、予算を自由に設定できるため、特定のターゲットに合わせた効果的な運用が可能です。これにより、短期間で集中的に放送することで、認知拡大を狙うことができます。