アップルファームクラブ

ファンの「推し活」パワーで売上アップ!
りんご栽培・販売事業主が挑戦、ラジオ広告施策とその成果

広告業界において、マーケティング戦略は常に課題となっています。本記事では、青森県のりんご栽培・販売企業「アップルファームクラブ」が、ラジオ広告を活用して売上アップを達成した事例を紹介します。

 

同社は、声優番組やアーティストグループメンバーの番組でスポンサーとなり、「推し活」と呼ばれるファンの行動を活用した新たな広告アプローチで成果を上げました。

この戦略により、売上が大幅に増加し、SNSでも反響を呼ぶなど、注目すべき結果が得られています。

 

100年以上の歴史を誇るりんご栽培農家の4代目である同社代表、永田洋亮氏に、この取り組みがもたらした成果と課題について詳しくお話を伺いました。

ラジオ広告の可能性と、中小企業ならではの戦略について、具体的な事例を交えてご紹介します。

アップルファームクラブ 代表 永田洋亮氏


青森県でりんごの栽培・販売を行う「アップルファームクラブ」は、日本の農業生産工程管理(JGAP)認証(※)を取得するなど、味と安全性にこだわりが特徴の小規模事業主です。消費者への直接販売にも注力していて、主にりんごと「りんごジュース」を生産、販売しています。

アップルファームクラブ https://applefarmclub.com

  (※)JGAP認証とは、安全かつ効率的に持続可能な農場運営を行うための基準を満たした農場や団体に与えられる認証

アップルファームのロゴマークは「キツネと林檎」

ラジオ広告に初挑戦 その背景とターゲット戦略

 まず初めに、現在のりんごの市場について教えてください。

購買層にはどのような特徴がありますか。特に世代ごとの消費動向について教えていただけますか。

永田洋亮氏(以下、永田)りんごの消費量は高齢者で多く、若年層では減少傾向にあります。国内の総消費量も減少していますが、台湾などアジアの需要増加により、輸出が伸びています。

国内生産量には限りがあり、需要が急増した場合には在庫不足の可能性があります。潜在的な国内市場は十分にありますが、果物全般の消費減少が課題です。

何かのきっかけでりんごの需要が高まれば、すぐに在庫が尽きてしまうほどなのです。業界としては、国内需要の拡大が重要な課題となっています。

アップルファームクラブの農園。モットーは、『美味しくて安全なりんごを沢山の人に食べてもらいたい』

 これまで、どのような広告をされてきましたか。

永田: これまでも新聞広告などを検討したことはありましたが、実施には至りませんでした。広告としては、文化放送でのラジオCMが初めてです。

ー 広告を検討されていた背景には、どんな課題があったのでしょうか。

永田: もともと、りんごの直販を増やしたいという思いはありましたが、ありがたいことに購入者の口コミでどんどんお客様が増えていたので、宣伝・広告は急務ではありませんでした。

しかし、既存のお客様も高齢になってきて、さらにコロナ禍で外出する機会が減り、口コミでの広がりが伸び悩んできました。新規のお客様を獲得する必要があったため、何らかの媒体での広告を検討するようになりました。

  広告を導入されたきっかけと、ラジオ広告を選ばれた理由について教えてください。

永田: ラジオ広告への取り組みには、大きく分けて2つのきっかけがありました。

まず、国が農業に力を入れ始め、農業経営のための収入保険制度が導入されたことです。これにより、新しい取り組みへのチャレンジがしやすくなりました。次に、コロナ禍の影響でりんごの価格が大きく下落したことです。この価格のままでは市場に卸しても赤字になってしまうため、以前から少量生産していた「りんごジュース」の製造量を増やし、その販売促進のために新たな宣伝方法に挑戦しようと考えました。

そして、ラジオ広告を選んだ理由は2つあります。

1つ目は、私たちは家族経営で、注文が殺到すると対応が難しいので、ニッチな層をターゲットにしようと考えたからです。
ちょうどその時期に、私が日頃好んで聴いていた声優のラジオ番組があり、この番組なら、注文数など様子を見ながら広告を展開できると
判断したのです。

2つ目の理由は、私自身が長年にわたって、文化放送のラジオ番組を聴いてきたことがあげられます。
約30年前、中学・高校生だった頃、地元青森で雑音交じりの文化放送のアニメ・声優番組を聴いていました。それから、一度上京した際には、ラジオから遠ざかっていましたが、Uターンで就農してからは、ラジコで文化放送の「A&G(声優出演番組)ゾーン」のラジオ番組を毎日欠かさず聴いています。

この長年の聴取経験が、今回のラジオ広告への積極的な取り組みへとつながっています。

 広告の目的、ターゲットやエリアはどうお考えでしたか。

永田:目的としては、具体的な「売上増加」よりも、当社の「知名度向上」と考えています。

ターゲットは、食品に気を使う30代以上の方です。エリアは、首都圏など青森から離れた地域です。文化放送は関東エリアをカバーする放送局ですが、ラジコを通じて関東以外のリスナーも聴いているため、全国からの商品注文も期待できると考えました。

声優ファンの「推し活」が売上を牽引!注文数が最大4倍に急増

ー それでは、御社のラジオ広告戦略についてお伺いしたいと思います。化放送では、これまでに2つの番組のスポンサーを務めていただいていますね。

最初にスポンサーになっていただいたのが、人気声優が出演する番組『堀江由衣×浅野真澄の#とれとれ』(以下『#とれとれ』)でした。

この番組を選ばれた経緯や、その効果についてお聞かせいただけますか。

永田:『#とれとれ』を選んだ理由は主に2つあります。

1つ目は、私もリスナーの1人ですが、性別はリスナーの男女比はほぼ半々くらいだろうと想定していて、ターゲット層が含まれていたからです。

2つ目は、『#とれとれ』の前後の時間帯に他の声優番組が放送されていることに着目しました。これにより、当社のラジオCMが『#とれとれ』のリスナーだけでなく、前後の番組のリスナーにも届く可能性が高いと考えたからです。

成果ですが、予想以上の反響がありました。「りんごジュース」の注文が通常時と比べて、2倍から最大4倍にまで増加しました。

放送時間帯でも影響がありまして、夜間よりも夕方の放送時間帯の方が反響が大きかったです。
ラジオ番組『堀江由衣×浅野真澄の #とれとれ』

番組概要:

文化放送のA&Gゾーンで放送していた声優が出演するラジオ番組。人気声優の堀江由衣と浅野真澄がパーソナリティを務め、トレンドをテーマに、注目のモノ・コト・ヒトを探る情報バラエティ番組。息の合ったトークを展開するのが魅力で、リスナーと共に最新のトレンドを発信し、楽しみながら情報を提供。

番組名『堀江由衣×浅野真澄の #とれとれ』

パーソナリティ 堀江由衣 浅野真澄

放送期間 2019年10月~2024年3月

ー リスナーのみなさんは、どのようにして商品の購入サイトにアクセルしたんでしょうか。

永田: 主にGoogle検索やXでの当社リンクからですね。CMで「アップルファームクラブ」と農園名を言及していたので、その名前で検索してくださった方が多かったようです。
アップルファームクラブの人気商品「厳選素材の濃厚りんごジュース(720ML)」は、JGAP認証のりんごを使用した果汁100%のストレートジュース

『#とれとれ』の番組提供を振り返って、どのような感想をお持ちですか。

永田:ラジオ広告は初めてでしたが、ラジオ広告に対してとても前向きになれました。番組で当社関係者の出演の機会もいただき、リスナーの皆さんに直接PRできたのが大きかったですね。

これを機に、ラジオ広告を続けていきたいという気持ちが強くなりました。


永田さんは、この番組のリスナーでもあり、スポンサーでもありました。この特別な立場から、何か気づかれた点はございますか。

永田:番組で商品を紹介できることは嬉しいのですが、バランスの難しさも感じました。スポンサーの話が多すぎると、一部のリスナーからは「またか」という反応がXで見られました。番組の本来の魅力を損なわないよう、適度なPRが大切だと実感しました。

『#とれとれ』投稿画面

ー  約3年にわたり、この番組を提供していただきました。振り返って、結果にご満足いただけましたか。

永田:はい、非常に満足しています。リスナーの皆さんから励ましや感謝の言葉をいただいたのが何よりも嬉しかったですね。ラジオ広告の可能性を実感できました。

Snow Man 佐久間大介の番組で大反響!ファンからの注文殺到で商品完売

『#とれとれ』での成功を受け、永田さんはラジオ広告の継続を決意しました。しかし、2024年3月末で同番組が終了。そこで、新たな挑戦の舞台として選んだのは、人気グループSnow Manのメンバー、佐久間大介がパーソナリティを務める「Snow Man 佐久間大介の待って、無理、しんどい、、」でした。

この番組は文化放送で毎週土曜日20:00-21:00に放送中。佐久間のアニメやゲームなどの「オタク趣味」全開のトークが特徴です。一見、小規模事業主とは無関係に思える番組を選択。その理由と広告効果について伺いました。

ラジオ番組『Snow Man 佐久間大介の待って、無理、しんどい、、』

番組概要:

パーソナリティは、アニメ・声優オタクのSnow Manの佐久間大介。番組では、佐久間が自身の近況を話すほか、佐久間 の好きな「アニメ」と「ゲーム」の話題など、オタクな一面を余すところなくリスナーと共有しています。

   

番組名『Snow Man 佐久間大介の待って、無理、しんどい、、』

パーソナリティ 佐久間大介(Snow Man)

放送時間 毎週土曜日 20:00~22:00

放送期間 2022年4月9日~現在放送中

番組URL  https://www.joqr.co.jp/qr/program/matemuri/

番組資料 無料配布中

『Snow Man 佐久間大介の待って、無理、しんどい、、』

 ■アイドル界の屈指のアニメ兼声優オタクの「Snow Man佐久間大介」初のアニメ・ゲーム・声優ラジオ番組です。

■STARTO ENTERTAINMENTファンも、アニメ・声優ファンも取り込む、Z世代に圧倒的に人気の番組の提供は、認知拡大~販売促進に効果抜群です。

■タレントCM契約なしでも番組ご提供が可能です。
 (実施には、諸条件がありますが、是非お気軽にお問合せください)

ー  『Snow Man 佐久間大介の待って、無理、しんどい、、』( 以下『マテムり』)を選んだ理由を教えてください。

永田:引き続き、声優の番組に提供したいと思っていたからです。さらに、この番組を選んだ理由としては、番組のメインターゲットが女性であり、また年齢層が当社の商品に合っていたからです。

さらに、私自身が日頃から聴いている番組だったので番組の特徴を理解していたことも選んだ理由でした。

ー この番組では提供クレジットやラジオCMのみの放送で、前回の番組とは異なり、スポンサーのゲスト出演など番組内でのPRは行われませんでした。

ラジオ広告を続けることに、不安はありませんでしたか。

永田:ラジオCMだけでも、特に心配していませんでした。むしろ、さまざまな形態の番組提供を経験することが今後の広告活動に活かせると考えました。

この番組は女性のリスナーが多いので、ターゲットにリーチできると見込んでいましたし、反響を見てみたいという気持ちもありました。

広告効果はいかがでしたか。

永田:予想以上の反響があり、非常に驚きました。

商品の注文数は『マテムり』でラジオCMを開始した直後に通常の4倍、その後最大で6倍に増加しました。

特に『#とれとれ』の1ヶ月分の注文が1日で達成されたことは大きな成果でした。商品が一時的に品切れになるほどの反響があり、この番組を通じて確実に購入層にリーチできたことを実感しています。

X(旧Twitter)での交流でファンの『推し活』が加速!

SNSでの反響がすごかったんですよね。

永田:予想をはるかに超える大きな反響がありました。特にXでの反応には驚かされましたね。

具体的には、番組でCMが初めて放送される当日の昼に、当社のXアカウントでラジオCMについて告知する投稿をしました。

驚いたことに、放送時間までの短い間に、なんと数万もの閲覧数とリツイート数を獲得しました。これは、いままで経験したことがない反響でした。

さらに嬉しかったのは、リスナーの皆さんから直接いただいた反応です。感謝のコメントや商品の感想が多数投稿されました。ラジオを通じて、リスナーの皆さんと直接つながることができたのです。

「アップルファームクラブ」の投稿画面

 今回の経験を通じて、気づきや発見はありますか。

永田:SNSの活用にもっと力を入れるべきだったと反省しています。リスナーのコメントへの返信やリツイートをもっと積極的に行えば、より大きな効果が得られたかもしれません。

今回は注文が殺到して商品発送業務に追われ、Xへの十分な対応ができなかったことが残念でした。

今後はCM放送にあわせて、SNS対応と業務バランスを取ることが課題だと思っています。

 スポンサーになられた番組『#とれとれ』と『マテムり』。この2つの番組のリスナーの特徴や違いがあれば、教えてください。

永田:『マテムり』のリスナーは特に番組やパーソナリティへの愛着が強く、それがスポンサーや商品への興味、関心につながっているように感じました。「推しを支えたい」という気持ちが当社の商品の購入にも表れたと思っています。

両番組のリスナーから、商品注文の際にスポンサーになったことへの感謝や当社への応援メッセージを多数いただき、リスナーの皆さんの温かさを強く感じました。

ラジオ広告の強み|ファンの「推し活」がもたらす消費行動への影響力

 よく広告主様からは、「ラジオのファンは熱量が高い」と言われることがあります。永田さんは、この意見についてどのようにお考えですか。

永田:その意見には共感します。私自身の経験からお話しさせていただきますと、例えば、私は同じ国産メーカーの車を3台所有しています。そのメーカーは、実は私が愛聴しているラジオ番組のスポンサーなんです。

また、日常的な買い物でも、商品選びに迷った時は、ラジオ番組のスポンサーの商品を選ぶ傾向がありますね。思い返せば、文化放送の番組スポンサーの日本酒を買ったこともあります。「好きな番組で聴いたCMの商品を手に取ってしまう」というのは、まさにラジオリスナーの特徴だと実感しています。

 つまり、ラジオ番組でCMを放送することが、リスナーの消費行動に影響を与えているということですね。

永田:はい、その通りです。ラジオ広告は確実にリスナーの消費行動に影響を与えています。当社の商品は流通では販売していないため、店頭での接点はありませんが、ラジオCMをを聴いた方のウェブサイトへの訪問や直接の問い合わせが増加しました。

ラジオは私たちのような小規模事業主でも消費者との接点を作り、親近感や信頼関係を築くのに非常に効果的だと実感しています。

今後の展望「ラジオとSNSを組み合わせたマーケティング」

ー 今後の展開について、どのようなアイデアやご計画をお持ちでしょうか。

永田:現在は仕事量が多いため余裕がありませんが、番組とのコラボレーションによる商品開発なども面白い試みだと思います。将来的には、ジュースだけでなく、りんごそのものの宣伝にも力を入れて販売数を拡大していきたいと思っています。

ー ラジオ広告を検討している事業主、広告主様に向けて、永田さんはどのような企業や業種、商品にラジオが向いているとお考えですか?

永田:今回の経験から、ラジオ広告は、どの事業規模でもメリットがあると思います。大手の商品はターゲット層を捉えることで高い認知効果が期待できます。一方で、規模の小さい事業主は、ラジオ広告と連動してSNSやウェブを活用してリスナーを商品購入に導く工夫が必要です。このような取り組みと、直販での売上を増やすことも可能です。

 最後に、メッセージをお願いします。

永田:はい。まず、文化放送さんには本当に感謝しています。広告実施に至る前までの文化放送さんの柔軟な対応に感謝しています。また、短い期間の提供でも受けてくださいました。そして、CMのナレーションを担当してくださった浅野真澄さんにも本当に感謝しています。素晴らしいCMを作っていただきました。

永田さん、ありがとうございました。

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「Snow Man 佐久間大介の待って、無理、しんどい、、」

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